로그인「そのポイント、ちょっと待ったー!」
「何ですか? 何かおかしなことがありましたか?」
ミィシェリア様が、わたしの頭のほうに伸ばした手を止める。
危ない。このままポイントを付与されてなるものか!「ミィシェリア様~。わたしの前世の記憶ってちゃんと見てくれましたあ?」
交渉だ! ここでがんばらないと!
「はい、もちろん確認しましたよ。穏やかな環境でしたので、標準的なポイント計算で――」
「そうじゃなくて! わ・た・し・の! 個人の記憶ですよー。ひどいものでしょう? 泣けちゃいますよね……。何一つ良いことがなくて……人生ハードモードだった上に暴走した車に轢かれて21歳(童貞)の若さで命を……よよよ」
わたしはミィシェリア様の足元で大げさに泣き崩れてみせる。
さらにミィシェリア様の足の指先をちょんと触る。「ええ……たしかに悲しみに満ちた人生で……さぞお辛かったことでしょう」
「そんなつらい前世から現世へせっかく転生したんだから、今度は楽しい人生を送っても罰が当たらないと思いませんか?」
ちらちら。
思いますよね? ね⁉……あと一押しか?「まあ、たしかに……」
「少しでもそう思われるのであれば! もうちょっとだけ! ポイントを融通してくれてもいいんじゃないでしょうかっ!」
ちらり。
お願いお願いお願ーい! ミィシェリア様好き。愛してる! 一生崇め奉ります! この通りですぅ! ちょんちょん……この指の形が好き♡「……わかりました。わかりましたから、足の指先をくすぐるのをやめなさい。では前世の状況を鑑みて、標準の2段階上として、年7ポイント、合計147ポイントを付与しましょう」
「やったー! ミィシェリア様最高! 女神の中の女神! 大好きー! 結婚してー!」
「わ、私は女神なので、人間のあなたと結婚はちょっと……」
うわ、ミィシェリア様の顔、真っ赤。
こういうのに耐性ないの? もしかしてホントにチョロインなの? もうちょっと押せば、わたしでもいただける?「いただけません! あなたは女神を何だと思ってるの? そういう不敬な態度を取るなら、ポイント付与は元の標準に」
「あーごめんなさいごめんなさいごめんなさい。わたしが悪かったですぅ。ミィちゃんがあまりにかわいくてつい!」
ジャンピング土下寝で謝り倒す。
わたしの今後の人生にかかわるんですー! うねうね。「反省しているならいいです。さあ、ポイントを付与しますから頭をこちらへ」
ミィシェリア様の呼びかけに応えて、土下寝のまま体勢のまま、芋虫のように近づいていく。
「なぜ起き上がらないのです?」
「海よりも深く反省中なのでこのままの体勢で……」
「まあいいでしょう」
小さくため息をつくと、ミィシェリア様はわざわざしゃがんでわたしの頭の上に手を置いてくれた。もう足ペロペロしちゃう♡
「まったく……。はい、ポイント付与は終わりました。ついでに各ステータスに関する説明をしましょう」
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STR≪筋力≫:力が強くなります。武器攻撃力が上がります。 VIT≪体力≫ :HPの上昇ボーナスがつきます。防御力が上がります。 DEX≪器用≫:MPの上昇ボーナスがつきます。技術力が上がります。 AGI≪敏捷≫:行動の速さ、回避力が上がります。 INT≪知力≫:賢さ、魔法攻撃力が上がります。武器修練度に関係します。 LUK≪幸運≫:運の良さが上がります。 --------------------------まあ、だいたい前世でやったことのあるゲームと同じ、かな?
普通に考えると物理系の武器を持つか、魔法系の武器を持つかで伸ばしていくべきステータスは変わってくるよね。「付与されたポイントはいつ使用してもかまいませんが、一度使用してしまったポイントはもとに戻すことはできませんので注意してください」
つまりステータスの再振りは不可能。
近接職を選んだらきっと一生そのまま。魔法職にコンバートすることはできない。そういうことなんでしょうね。つくづくハードモードな世界。冒険者をやるなら、だけどね。
わたしは当初の目的通り、この異世界でしあわせな人生を送りたいのです!
前世のようなアンラッキーな人生は死んでも嫌!つまりここでの選択は――。
「LUK≪幸運≫に全振りでラッキーガールになるのです! ひゃっはー! いっけー! いざ、ラッキーにまみれた素敵な異世界ライフ!」
ポチポチポチポチポチポチッ!
ふう。147ポイントLUK≪幸運≫に全振りしてやったぜ! どやぁぁぁぁ!
異世界人もびっくりのラッキーガール爆誕だZE⁉--------------------------
アリシア=グリーン 種族:転生人族 Lv.10 HP:3720 MP:1860 STR≪筋力≫:220 VIT≪体力≫ :181 DEX≪器用≫:183 AGI≪敏捷≫:223 INT≪知力≫:301 LUK≪幸運≫:150 スキル:なし --------------------------……はい? わたし、LUK≪幸運≫に全振り……した、だけよね?
えっと、元が3ポイントで、今は150ポイントになっている。計算合ってる、ヨシ。 他のステータスはいったいなにごと? それと種族が転生人族に変わってる?わたしは土下寝状態のまま、ミィシェリア様を見上げる。と、ミィシェリア様はわたしの頭から手を離し、ゆっくりと立ち上がる。
あ、白! パンツ見えた。ラッキー!
「え、何? ソフィーさんが呼んでるの? 3階のVIPルーム?」 ホールに向かってローラーシューズで滑っていたところ、天使ちゃんに呼び止められた。「もうすぐローラーシューズショーなんだけどなー。なんかトラブル?」「はい、どうやらお客様が暴……アリシアちゃんを呼んでいるみたいで」 ギリ許す。キミにはアメちゃんを上げよう。「お客様かー。それはしかたないね。いきます。でもちょっと待って」 しまったなー。体が2つほしい。コピーロボットの開発を本気で進めなければ……。 でも今日のところはこれでなんとか指示を――。 アイテム収納ボックスから開発したばかりのヘッドセットを取り出して装着する。 うまく使えるかな?「あー、あー、マイクテストマイクテスト。こちらアリシア。控室、聞こえますか?」 どうかな。……反応ないな。「こちらアリシア。声が聞こえていたら、緑の〇ボタンを押して通話を開始してください。オーバー?」『……れ、ですね。もしかしてトランシーバー? こちらロイス、聞こえますか? オーバー?』「お、ロイス。さすが! そう、トランシーバーだよ。こっちの声は聞こえてる?」『ええ、クリアに聞こえています。アリシア、あなたこんなものまで作っているの?』「機械類は得意分野なのー。学生時代にちょっとね。だけど魔石って便利ね。音声を集積して電波に変えて飛ばすこともできたのよー。まあ、でも電波が届く範囲は狭いから、せいぜい店内くらいの範囲にはなっちゃうけどね」『それはそれは……。それで何か用事?』「ああ、そう。ちょっとトラブルみたいで、VIPルームに行かないといけないの。だから20時のローラーシューズショーに立ち会えないと思う」『大丈夫、かしら……。みなさん平気?』 さすがにちょっと不安そう。 ロイスが3人の反応を確認してくれているみたいね。『闘魂注入されたからいけるって』「よろしい! 良い返事だ! みんなの活躍に期待してるよ!」『私に何かできることはある?』「そうねー。3人を送り出してくれると助かる」『送り出す?』「そう、送り出すー。ほっぺにキスして『がんばって♡』ってやつー」『うそでしょ⁉ あなたいつもそんなことやってるの⁉』「じゃあ頼んだよー。急いでいるから通話終了。オーバー!」『あ、ちょ――』 はい終了。 顔を赤くして慌てふ
VIPのお客様のお相手は、ソフィーさんとマーチャン様のお気に入りの天使ちゃんたちに任せてーと。わたしは調理場の様子と1階のホールの様子も確認しないとね! プロデューサーさんは大忙しなのだ!「どうやってるー? 機械の調子はどうかしら?」 夜の間、ナゲットクンの機械はお休みさせているけれど、他の機械は稼働しっぱなしにしているのです。大盛況だから、製造し続けておかないと明日売るものが足りなくなってしまう恐れがありまして。「はい。順調です。肉の裁断機は正常に動いています。油の温度調節も正常です。オーブンも正常に動作しています」 調理場の天使ちゃんたちはとってもまじめ。 時間ごとにしっかりとシフトを守って働いてくれている。「報告ありがとう! サポートロボットの調子はどうかしら? ちゃんと役に立ってそう?」 重いものを運んだり、料理をサーブする補助のために、ホールの天使ちゃんたちに1人につき1体のサポートロボットをつけてみたのでした。個人認証させて自動追従するシステムだよー。高速で移動しても汁物をこぼさない重力制御搭載! キッチンから天使ちゃんが手で運ぶよりも事故がなくて安全!「ええ、そちらも今のところとても順調のようです。ホール係の話によると、『丸っこくてかわいい』とお客様からも好評をいただいているようです」 でしょうでしょう♪ 皇帝ペンギンの皇ペンちゃんですよー。ローラーシューズでシューっと滑っていく姿がペンギンっぽかったので、外見もかわいらしくしてみたよ♪ ゆくゆくはグッズ化! とりあえず表のガチャガチャに皇ペンちゃんグッズを入れてみて世の反応を見てみるか……。「お席が60分制になっていますから、料理の待ち時間を極力減らすことを心がけていきましょうね。注文したらサッと料理が出てくる。お食事に満足してすぐに帰っていただく。そして次のお客様をお迎えする。大変ですけど短い時間でお客様に満足していただけるように、しっかりとおもてなしをよろしくお願いします!」「「YES、暴君幼女!」」「おい、声を揃えて暴君幼女って呼ぶなっ! ホントに暴力振るうぞ! わたしの全力パンチはホントに痛いからなっ!」 こぶしを振り上げると、天使ちゃんたちが笑いながら散り散りになって逃げていく。 まったく、悪ふざけが過ぎるわ! 君たちのまかないは1品減らす! さて、次は
「マーチャン様、本日は龍神の館にお越しいただき、誠にありがとうございます」「うむ。約束通りきてやったぞよ」 あ、プレオープンセレモニーの時の小さなお客様だ! 約束してたっけ⁉ 今日も鮮やかな緑色のマントをすっぽりかぶっちゃって……ちょっと怪しい人よね。「これはこれはマーチャン様~♡ いつもご贔屓にしていただきありがとうございます♡」 ソフィーさんが大歓迎、といった具合に膝をついて両手を広げる。幼児を出迎えるパパ? 貴族じゃないけれど常連さんなのよね、きっと。 あれ? でもお連れの方は……?「うむ。今日も楽しませてもらうぞよ」「本日からリニューアルオープンですから、今までよりも一層ご満足いただけると思いますわ。本日は3階の特別な個室をご用意しておりますの。オホホホホ」「うむ。プレオープンのパーティーは大変満足じゃった。今宵も期待しておるぞよ」 上機嫌なのは良いけれど、子どもなのにまるで仙人みたいなしゃべり方ね。店に入ってもマントをぜんぜん脱がないし。「さあさ、3階までお運びいたしますね。失礼して~」 ソフィーさんがマーチャン様を片手で持ち上げると、なんとそのまま自分の肩に乗せる。マーチャン様の体がいくら小さいからって、それは失礼には当たらないの? マントの色的に、まるでオークの肩に止まるオウムみたい。「ほう? おぬしもローラーシューズとやらが使えるのか。めいっぱいスピードを出すがよいぞ!」「言いましたね? 後悔しても知りませんからね。飛ばしますわよ~!」 オークとオウムが笑い合いながら階段を登っていく。なんかすっごい仲良さげ……。ていうか、これは何を見せられてるの? ディスカバリーチャンネル?「あ、置いてかれた……。ほら、あなたたちもぼーっとしてないで、準備にとりかかるー! VIPのお客様をお待たせしないよー!」 わたしの隣で階段を眺め続ける天使ちゃんたちにはっぱをかけて、わたしも後を追うことにした。* * * なんとか3階のVIPルームの入り口で2人に追いつく。「本日のコース料理ですが……3名様でご予約をいただいておりまして……お連れ様をお待ちしてからスタートなさいますか?」 普通にお1人のまま部屋まで来ちゃってるけど、待ち合わせはお店の中なのかな?「アリシア、マーチャン様はこのままで大丈夫よ。すぐに始めちゃってちょうだい
「いらっしゃいませー♪ 龍神の館へようこそー」 18時30分。 予定通り夜営業開始。 とは言っても、予定通りでない部分もあった。開店前からお店の前にたくさんの行列ができてしまい、急きょ整理券を配布することになってしまったわけで……。 ローラーシューズショー見学用のチケットは席代をチャージ制に。 お食事だけの席は60分制にしてもらった。あとは今日だけテラス席も開放して、そっちでも飲食を楽しめるように突貫工事!「危なかったー。天使ちゃんたちが気づいてくれなかったら、また昼間の二の舞を踏むことになってたよ」「ホントよね。でも夜のテラス席もなかなか乙なものね。アリシアの用意してくれたライト、ステキだわ~♡」 ソフィーさんも喜んでくれていた。 各テーブルにランタンを設置してお料理を上から照らすようにしてみましたー。必要以上にライトをつけないようにしたほうがいいよね。せっかくの屋外だし、星空も楽しめるようにね。「それにしてもちょっと意外です」 わたしはぼそりとつぶやく。「どうしたの? 何かまた想定と違ったのかしら?」「えーとですね。お客様の層が意外だなーと。これまでの傾向だと、失礼ですが、もうちょっと裕福な方々が多くお見えになるのかと思っていたので……」「そうね。たしかに。こうしてみると昼間のお客様とそう変わらないかもしれないわ……。ご家族連れも多くみられるし。もしかしたら貴族の方々は様子見をされているのかもしれないわね」 ソフィーさんが腕を組み、分析する。 といっても、胸の筋肉がパンパンで、胸の下に手を添えるだけになっているのがちょっとかわいい。「様子見ですかー。ガーランド伯爵のプロモーションに食いついたのは庶民の方が多いのですね。ガーランド伯爵の支持者はそっちに偏っているのかな?」「あなた、するどいわね……。セドリックは一般の市民をとても大切にしているから、逆に近隣の貴族受けがあんまり良くないのよね。でも王宮とはうまくやっているから大丈夫だとは思うのだけれど、いつもハラハラしちゃうわ……」 周りに聞こえないように配慮しているのか、ソフィーさんが小声でつぶやき、ため息をついた。 政治の話かあ。あっちを立てればこっちが立たず。大人の世界は難しいですなー。「うちのお店をうまいこと利用してほしいのだけれど、肝心の貴族が寄り付かなくなってし
「みなさん、昼営業、大変お疲れさまでした! なんと! 初日、販売目標達成です!」 バンザーイ! みんな拍手拍手ー! イエイエイエーイ♪ 天使ちゃんたちも手ごたえがあったのか、いつにも増して活気づいている。「これはホントにみなさんの努力の成果です! ガーランド伯爵の粋な計らいで営業開始から長蛇の列ができても、みなさんが必死にさばいてくれたおかげです! ホントにお疲れさまでした!」 慣れない機械を使わせたのに、がんばって対応してくれたオーダーの天使ちゃんたち。 試食を配ったり、列の整列やお客様トラブルの対応をしてくれたプロモーションの天使ちゃんたち。 まさかのストック切れになりそうなところを、しっかりペースを守って追加の料理を作ってくれた調理の天使ちゃんたち。 みんなみんなお疲れさまだよ。「予想をはるかに超える人数のお客様が来店されて、みなさん満足そうに帰っていかれましたね。きっとお持ち帰りしていただいた料理で、さらに次のお客様を呼んでくださることでしょう」 もうね、これは平民たちの胃袋はつかんだといっても過言ではないのではないでしょーか!「そして今日、陣中見舞いとしてきてくれたロイス嬢! なんと裏ではガーランド伯爵のネームバリューを使って号外まで配布してお店のプロモーションをしてくれていました。さらにさらにこの類まれなる美貌を使ってお客様を虜にして次の来店を約束させるという反則ギリギリの技まで! はい、みんな拍手ー!」 盛大な拍手、そして指笛。ちょっとしたお祭り騒ぎだよ!「ちょっとアリシア? 私、ぜんぜん褒められてる気がしないのだけれど⁉」 ロイスが真っ赤になって抗議の声を上げる。 そんなロイスの態度に、天使ちゃんたちがどっと沸いた。あー、なんかお店、とっても良い雰囲気だねー。「えー、ほめてるよー? まさに適材適所ー。ずっとロイスがお店の前に立っててくれたら、販売目標倍にできるかも?」「それはありがたいわね♪」 ソフィーさんもホクホク顔。「もう、みんなして私のことをからかって! 知らないんだから~」 プイと後ろを向いてしまう。耳まで赤いロイスさん。あらあら♡ かわいいお顔をこっちに見せて♪ それにしてもロイスはすっかり打ち解けたねー。このお店の天使ちゃんたちは、貴族の方と接する機会も多いけど、相手の身分で変に壁を作らないの
「え、どうしました⁉ お客様同士のトラブルですか⁉ 列に割り込みが?」 おぅ……並んで物を買うという習慣は、まあない人もいるよね。 いきなり長蛇の列を前にしてガマンできるかって言われると……。「でも、ちゃんと後ろに並んでいただけるように説得を……試食も忘れずにお願いします」 そんなこんなで、ホールの天使ちゃん、改め、オーダーの天使ちゃんたちはてんてこ舞いだ。「お店が盛況すぎる! まだ開店して1時間も経ってないのにどうしたんだろ、これは⁉」 うれしい方向に予想外だよ。 最初は冷ややかな視線を浴びつつ、「あれ、試食うまいぞ?」的な感じで少しずつ客足が伸びていくイメージでいたのに、いきなり長蛇の列、だと? なんなら開店前からお店の前にけっこう人がいたのはなんでだ……。「暴君、たぶんこれっすよ」 おい、セイヤー口の利き方に気をつけろよ! 列の最後尾まで吹っ飛ばされたいのか?「何? えーと≪龍神の館が今日から新装開店リニューアルオープン。料理のラインナップも一新! プレパーティーにご出席された城主ガーランド伯爵も『こんな料理、王宮でもお目にかかれないだろう。まるで舌が蕩けるようだ≫と大絶賛。その料理の数々が、なんと庶民にも手が届く安価で提供されるとのこと。昼間は店頭販売される。キャンペーン期間中は行列必至だ!』って号外新聞⁉」 なにこれ? こんなプロモーションわたし知らない……。「街で大量に配ってるっす。伯爵の騎士団の人たちが……」 なんで伯爵の騎士団がそんなことやってるの⁉ え、ソフィーさんどういうこと⁉「わ、私も聞いてないわよ? セドリックはサプライズ好きなのよ。ノリノリでやってそうだわ……」 ソフィーさんが肩をすくめて苦笑している。 あの人、そういう感じなの? ちょっと意外だわ……。サンタクロースのコスプレして枕元にプレゼント置いちゃうタイプの人なんだ……。 と、店の前に馬車が止まる。「アリシア、遊びに来たわよ!」 馬車の中から飛び出してきたのはロイスだ。「ロイスー! わざわざ来てくれたの⁉ 見てみてー、リニューアルオープン初日から大盛況よ!」 見よ、この長蛇の列。 超高速でオーダーを捌いてもどんどん列が伸びていくのよー!「私がお父様に頼んで宣伝してもらったのよ。お父様の名前も有効活用していかないとね♪」 ロイスのおかげ
「伝えにくいことって……」 はっ! もしかして、この間ボール遊びをしていて教会のステンドグラスを割ったから、罰が与えられる⁉「いいえ。私は女神ですから、そのようなことで怒ったりはしません。ですが、あなたはきちんと謝ることのできる大人になれると良いですね」「はい……ごめんなさい」 黙って逃げてごめんなさい……。「許しましょう。ですが、伝えたいのはそのことではありません」 あれ? ミィシェリア様って、さっきわたしの心の声に返事しなかった?「ええ、あなたの心の声は全部聞こえていますよ。私は女神ですから、信徒の心の声を聞くことができます。神と子の間に隠しごとはできませんから、裏表なく、清
「アリシア=グリーン。10歳のお誕生日おめでとうございます」「あ、ありがとうございます……女神……様」 わたしは頭を垂れ、跪いたまま冷や汗ダラダラだった。 やばい。女神様の名前、度忘れした……。 なんだっけ……。 ここパストルラン王国では、七神の女神が信仰されている。10歳の誕生日に七神いずれかの女神に礼拝し、洗礼を受けることになっているのだけど、だけど……。 わたしが洗礼を受けるのは……えっと、愛の女神様なんだけど……名前が……そうだ、ミィシェリア様! あっぶない、思い出したー!「女神ミィシェリア様。ご機嫌麗しゅう」「もし? 聞いていますか? あなたの名前はアリ
わたしのステータス、LUK≪幸運≫を上げただけなのに、どうしてこうなった?-------------------------- アリシア=グリーン 種族:転生人族 Lv.10 HP:3720 MP:1860 STR≪筋力≫:220 VIT≪体力≫ :181 DEX≪器用≫:183 AGI≪敏捷≫:223 INT≪知力≫:301 LUK≪幸運≫:150 スキル:なし --------------------------「ミィシェリア様……ステータスがおかしくなっちゃったんですけど」「とくにおかしいところはありませんよ。アリシアはLUK
ミィシェリア様の手を通じて、わたしの頭の中に、誰かの記憶の断片が流れ込んでくるのを感じる。 これは誰? 男の子? 見たことない服。周りの風景。 あ、待って。なんかちょっと思い出してきたかも。 あ……前世。これが前世なんだ。 わたし、前世では男の子だったんだ。気弱そうであんまりかっこよくない……。王子様とは違う。がっかり。 流れ込んできた記憶、そして知識が紐づいていき、わたしは前世という概念を理解した。 大学。研究。ロボティクス工学。就職活動。 知らない言葉が頭の中に浮かんでは消える。そして脳内に浮かぶ映像とともに理解する。 わたし